机の上にポインティングデバイスが 4 つあります。ロジクールの MX Ergo S、ケンジントンの SlimBlade Pro と Expert Mouse、それに Apple の Magic Trackpad です。

コードの話は出てきません。家の机の話です。ただ、片付けようとしたときに自分の書いたタスク名が問題の立て方を誤らせていたと気づいたので、そこだけ書き残しておきます。思いついたことを雑にメモして、あとから仕分ける — そういう運用をしている方には刺さるかもしれません。

発端は、括弧の閉じていない一行

私は気がかりを思いついた順に 1 つのノートへ放り込んでいます。週に一度空にする「バケツ」のようなノートで、粒度も順番も揃えません。あとから仕分ける前提なので、書くときは雑でいい、という運用です。

その日の一行がこれでした。

- トラックボール増えすぎてる(案件毎なので仕方ない

括弧が閉じていません。スマホから片手で打ったのだと思います。

溜まった一行たちは、あとで 1 件ずつタスクノートに変換されます。この変換をやっているのは自作の GTD スキルを動かした Claude Code で、行を読んでタイトルを決め、CLI で起票するところまでを自動でやります。

そのときに付いたタイトルが、こうでした。

トラックボールが増えすぎている

後半が落ちています。

落ちた後半のほうが重要だった

そのあと、溜めた一行を 1 件ずつ見て「で、次に何をするか」を決める番が回ってきます(GTD でいう clarify です)。一覧に並んでいるのはタイトルだけなので、目に入るのは「トラックボールが増えすぎている」です。

このタイトルをそのまま受け取ると、次にやることは「減らす」に寄ります。1 台選んで、残りを売るなり誰かに譲るなりします。実際、私はその方向へ引っ張られました。

ところが本文を開くと、括弧の中身が残っていたのです。

案件ごとに使い分けているので増えるのは仕方ない

自分で仕方ないと書いている。

ここで手が止まりました。自分で「仕方ない」と結論しているものを減らす作業は、始めても続きません。一度片付けても、しばらくしてまた増えそうです。

困っているのは台数ではないのだろう、と考え直しました。どの案件でどれを使っているかがどこにも書かれていないことのほうが問題に見えたからです。手が勝手に覚えているだけで、対応表が存在しない。使っていないものが机に出ているのだろう、というのがこの時点の見立てでした(あとでこれも外れます)。

それなら課題は「減らす」ではなく「置き場所を決める」になります。目指す状態は「どれがどの案件用かが分かり、使っていないものが机の上に無い」です。

次にやることを書き直しました。

全部並べて、案件ごとの対応を書き出す。対応が無いものは箱にしまう(捨てなくてよい。机の上から外すだけ)

「捨てなくてよい」をわざわざ書いたのは自分への念押しです。捨てる判断が混ざると、片付けそのものが始まらなくなるので。見積りは 30 分にしました。

落ちたのは、但し書きのほうだった

面白いのは、情報は失われていなかったことです。「仕方ない」は本文にちゃんと残っていました。落ちたのはタイトルだけです。

でも一覧で見えるのはタイトルだけなんですね。そして仕分けのときに人は一覧を見ます。本文を開かなければ、但し書きは存在しないのと同じでした。

ここで一度疑いました。単に閉じていない括弧の手前で切れただけではないか。 原文はちょうど ( の直前までがタイトルと一致しているので、そちらのほうが素直な説明に見えます。

ただ、それだと合いません。単純に切ったのなら、タイトルは原文どおり「トラックボール増えすぎてる」になるはずです。実際に付いたのは「トラックボール増えすぎている」で、助詞が足されて語尾が整えられています。切り落としたのではなく、読んで書き直しているわけです。

つまり要約する側は、あの一行を最後まで読んだうえで、但し書きのほうを落とすと判断したことになります。「困りごと + 但し書き」という形の一行で、補足に見えるほうが落ちるのは、まあそうなるだろうなと思います。そして今回に限っては、解法を左右していたのは落ちたほうでした。

記事を書くために、半分だけ並べてみた

「全部並べて書き出す」は、この記事を書くまで着手していませんでした。まずは型番だけ並べてみます。そうしたら、並べる前には見えていなかったことが出てきました。

機種操作スクロール
ロジクール MX Ergo S親指でボールホイール
ケンジントン SlimBlade Pro指で 55mm のボールボールをひねる
ケンジントン Expert Mouse指で 55mm のボールスクロールリング
Apple Magic Trackpad指で面

ケンジントンの 55mm が 2 台あります。 どちらも指で大きな玉を回す方式で、玉の径まで同じ。違うのはスクロールの作法だけ — 片方はボールをひねり、もう片方はボールの周りのリングを回します。MX Ergo S だけが親指で操作する別系統です。

ここで「近い道具が 2 台あるな」と思いました。減らせる余地があるとすれば、たぶんここだろう、と。

参考: SlimBlade Pro(“scroll … via a simple twist”)/ Expert Mouse(Scroll Ring)/ MX Ergo S

対応表を書いたら、それも早合点だった

そこまで書いて、ようやく本来のアクション — 案件ごとの対応 — を書き出しました。やってみると案件ごとではなく機械ごとになります。案件は機械に紐づいているので、実質は同じことでした。

機械繋がっているもの接続
メインの MacBook ProMX Ergo S / Magic TrackpadEasy-Switch の 1 / この機械のみ
貸与機 AMX Ergo S / SlimBlade ProEasy-Switch の 2 / 有線
貸与機 BExpert Mouseこの機械のみ
サブの Mac miniSlimBlade ProUSB ドングル

見てのとおり、同じデバイスが 2 行に出てきます。

MX Ergo S は Easy-Switch で 2 台と同時に繋がり、ボタンで切り替えられます。SlimBlade Pro は有線・2.4GHz・Bluetooth の 3 通りの接続方法で最大 3 台まで繋いでおけて、アクティブになるのは 1 台です。どちらも掛け持ちしていました。

数えてみます。機械が 4 台、デバイスが 4 つ、繋がりは延べ 6 口。どこにも繋がっていないデバイスは、ひとつもありませんでした。

「対応が無いものは箱にしまう」という当初のアクションは、該当なしで終わったことになります。箱に入れる候補がありません。

「近い道具が 2 台」と思ったケンジントンの 2 台も、SlimBlade Pro は貸与機 1 台とサブの Mac mini、Expert Mouse はもう 1 台の貸与機に繋がっていて、接続先は重なっていませんでした。当たりを付けた場所は外れです。

ただし「減らせない」とまでは言えない

ここで言い切りたくなったのですが、表から証明できるのは「繋がっていないものは無い」までです。繋がっていることと、要ることは別の話でした。

実際、反論が立ちます。SlimBlade Pro は 3 台まで繋いでおけるので、残り 1 枠を貸与機 B に使えば Expert Mouse は要らなくなる理屈です。同時に触る場面があるのか、離れた机の上でどう置くのか — そのあたりを確かめないと、この案は潰せません。

つまり対応表を書いた時点の結論も、まだ途中経過です。少なくとも「使っていないものを箱にしまう」という見立てが外れたことだけは、はっきりしました。

ついでに、数え方も雑だった

タスク名は「トラックボール」なのに、4 つ目は Magic Trackpad です。トラックボールではありません。

書いているときは「だいたい同じ括り」で数えていました。実害はありませんが、こういう雑な括りのまま「増えすぎている」と言っていたわけです。タスク名が解法を決めてしまうのと同じで、言葉のほうが先に対象を決めていたということかなと思います。

学んだこと

情報を足すたびに、結論が 3 回変わりました。

見ていたもの出した結論
タスク名だけ減らそう
本文を開いた減らすのではなく、置き場所を決めよう
型番を並べた近い 2 台があるから、減らすならそこ
対応表を書いた繋がっていないものは無い。箱に入れる候補が無い

どの段階でも、私はそれなりに納得していました。間違っていたのは判断ではなく、判断に使った情報の量です。そして途中で止めていたら、止めたところの結論で動いていたと思います。実際、最初の段階で止まりかけていました。

4 行目が最後かどうかも、正直なところ分かりません。SlimBlade Pro の空き枠の件がまだ残っています。

「トラックボールが増えすぎている」は、困りごととして嘘ではありません。机の上が散らかっているのは本当です。それでもタスク名としては、次の行動を「減らす」に縛る書き方でした。そして少なくとも「使っていないものを片付ける」方向は、空振りでした。

雑に書き留めること自体は続けます。その場で整えようとすると、そもそも書き留めなくなるので。代わりに、仕分けのときはタイトルを疑って本文を開くことにしました。今回は開いたから気づけましたが、開かずに減らし始めていた可能性は十分にあります。

残っているのは、当初の読み替えどおり「置き場所を決める」です。4 つとも繋がったままなので、決めたところで机の上のデバイスは 4 つのままでしょう。動かせるのは数ではなく配置のほう — どの機械の手前にどれを置くか、使っていない時間の定位置はどこか、といったところです。

30 分の見積りのうち、書き出す部分はこの記事を書きながら終わってしまいました。

まとめ

  • タスク名は状況を言い当てていても、次の行動を限定していることがあります。「増えすぎている」は「減らす」しか呼びません
  • 一行に「困りごと + 但し書き」を書いたら、要約で落ちたのは但し書きのほうでした。そして解法を左右していたのは、その但し書きでした
  • 情報が残っていても、一覧に出ないものは無いのと同じでした。仕分けのときはタイトルを疑って本文を開くようにしています
  • 雑に書き留めること自体はやめません。その場で整えようとすると、そもそも書き留めなくなるので。整えるのはあとの工程の仕事です
  • 中途半端に並べた段階がいちばん危ないかもしれません。型番だけ見て「近い 2 台があるから減らせる」と当たりを付けたのは、タスク名だけ見ていたときより情報が増えているぶん、確信がありました

ちなみにこの記事のタイトルの前半は、あの日の一行そのままです。これだけ置いておくと、やっぱり「減らす話」に見えますね。